それは見世物小屋

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「どうかしたの?」 「うん……あ、いや、なんでもないけど……」 栗色の瞳は宙をさ迷うと、突然、大きく開いた。 まるで何かを見つけたかのように。 「じゃあ、私は行くから。 また今度会おうね、理香ちゃん」 「えっ、花梨ちゃん? また今度って……」 突然、花梨ちゃんは人混みに紛れ、予約してくれたお店とは別の方向へと姿を消してしまった。 揺れていたツインテールの残像だけが残る。 ぽかんとしていると背後から声をかけられた。 この声は、と思いながら振り向くと、予想通りの声の持ち主が眉を寄せていた。 「あれ、外山くんも一緒にアフタヌーンティーに行くの? 花梨ちゃん、さっきまでここにいたんだけど、どこかに行っちゃって……」 今日は花梨ちゃんと二人でアフタヌーンティーに行くつもりでいた。 外山くんが来ることは聞いていない。 「花梨に仕組まれた」 「仕組まれたって、どういうこと?」 外山くんは花梨ちゃんに「さっちゃんと一緒に行きたいな」とねだられてアフタヌーンティーを予約し、待ち合わせに来たと説明してくれた。 花梨ちゃんが外山くんと私をくっつけようとしているのは軽いノリではなく、けっこう本気なのかもしれない。
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