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血管の浮き出た腕は思っていたよりも逞しく、胸にはしなやかな筋肉がついていた。
この躰に触れる権利を与えられた女の子達。
彼女達はここでどんな時間を過ごしたのだろう。
この腕に抱かれ、この胸に包まれ、どんな言葉を交わしたのだろう。
胸がチリっとした。
「理香ちゃんも座れば?」
突然、伏せられていたはずの瞼が大きく開き、視線が私を刺した。
奏人はにこりと深く微笑む。
―――ばれた。
一気に全身に熱が回る。
いつから私の視線に気づいていた?
まさか最初から?
私は躰を縮めてソファーに座った。
「理香ちゃん。そっちじゃなくて、こっち」
大きな手からすらりとのびた人差し指が、ベッドを差す。
「ソファーじゃなくて……そっち?」
「来て」
薄く開いた瞳が私を引き寄せる。
ふらふらと立ち上がり、黒で統一されたシングルベッドに腰を掛けた。
小さな音を立て、ベッドが軋む。
奏人は何も言わず、私の横顔をすぐ隣からじっと見つめた。
その瞳から逃れるように、私はベッド脇にあるサイドテーブルを見る。
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