それは見世物小屋

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「外山くんって、不思議だね」 外山くんは一瞬だけ眼を見開くと、「そうかな」と短く返した。 私は気になっていたことを投げかける。 「だって……どうして私なんかにやさしくしてくれるの? 奏人と私の関係とか……私のこと、馬鹿だなって思わないの?」 ずっと、気になっていた。 外山くんは奏人と私の関係をどう思っているのだろう。 馬鹿だとか、滑稽だとか、気持ち悪いだとか。 そうは思わないのだろうか。 やさしくしてくれるのはうれしいけれど、まるで自分がひどい嘘吐きになったような、後ろめたさのようなものがあった。 私なんかが受けてはいけないようなやさしさを、外山くんはいつも与えてくれる。 やわらかく、包み込むように。 こんな馬鹿な犬なのに――。 「馬鹿だなんて、思わないよ」 静かに、けれどはっきりと言われた。 「……私のこと、気持ち悪くないの?」 「気持ち悪い人と一緒にお茶はしないよ」 困ったように微笑まれ、泣きそうになる。 瞼が熱くなっていく。 「涼宮さんこそ、高野さんや誰かから、俺のこと聞いてるんじゃない?」 「え……」
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