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キスマークはつけてもらった。
おいしいお茶を淹れてもらって、ご飯を一緒に食べて、フィンガーペイントもした。
けれど一度だって、外山くんとセックスはしていない。
「あれは、あの日だけで、外山くんと私はそういう関係じゃなくて」
「ねぇ、理香ちゃん」
奏人はまた私の言葉に被せて言った。
私の言葉なんてまるで聞く気がない。
「俺、見たい。
理香ちゃんと外山が――犬と犬が、仲よくしてるところ」
「……え?」
「意味、わからない?」
私と外山くんが、仲よくしてるところ。
それは、つまり。
つまり、それは――。
「見せてよ、理香ちゃん」
頭が、ぐわんぐわんと大きな波を打つ。
締め付けられた胸は苦しくて、膝の上のあたりが、ぴくぴくと痙攣する。
けれど奏人に要求されていることがどういうことかは、ちゃんとわかる。
痛いくらいに、ちゃんと。
「おい、いくらなんでもそんなこと」
はじめて聞いた外山くんの大きな声。
さっきまで無表情だった顔がみるみる変わっていく。
こんなに取り乱す姿をはじめて見た。
「俺はね、理香ちゃんに聞いてるの。
それにお前、口を挟めるような立場?」
「それは……」
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