落下した十九の冬

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奏人の瞳に犯されながら何度も何度も円を描いていくと、指は蜜の中へと飲み込まれていった。 奏人を見つめ、奏人の指の動きを真似してみても、全然足りない。 もっと奏人を感じたい。 今度は自分から固くなっているものに手をのばした。 触れるとそれはピクリと動いた。 その瞬間、急にそれが愛おしく思えてきた。 私にとってはまるで未知の生物のようなものであっても、それはちゃんと奏人の一部だった。 「口で……したい」 「やり方わかる?」 「ううん、教えて」 「指で練習しようか」 やり方を教わりながら、長い指を愛撫した。 舌先を丸めたり、尖らせたり。 舌のザラザラした面を使ったり。 二十年間生きてきて、こんなに舌を使ったことなんてない。 私にちゃんと出来るんだろうか。 うまく出来なかったら、きっともうここへ呼んでもらえない。 「喉は無理だろうな」 呟かれた言葉の意味がわからず、首を傾げる。 「意味わからなくていいから、続けて」
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