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ふわふわのワンピースの裾から覗く、広がってしまったストッキングの伝線。
ぐしゃぐしゃの髪に、崩れたメイク。
格好悪い。無様だ。
ちいさい頃に夢見た舞踏会のお姫様の姿には、掠りもしない。
それでももう、どうしようもない。
後悔するよりは、無様な犬の方がよほどいい。
伝えたい。叫びたい。
ずっと秘めていた、奏人にとってはめんどくせぇであろう想いを。
そう思った瞬間、思い切りつんのめった。
べしゃりと膝から崩れ落ち、咄嗟に出した腕に顔を打ちつける。
惨めな上に、痛い。
内側も外側も、私のすべてが痛い。
蹲っていると大きな声が降ってきた。
「何やってるんだよ、危ないだろ!」
さすがの奏人も足を止めてくれた。
あのときはすぐに立ち去ったな、と大学の階段で派手に転んだときのことを思い出す。
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