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奏人と関係を持ってから一か月ほど経った頃、芽衣子は奏人と私の関係に気が付いた。
シラを切ろうとしたけれど、馬鹿な私は問い詰められるうちに動揺し、涙を浮かべてしまった。
軽蔑されても仕方ない。
そう思っていた私を芽衣子は「ばかだなぁ」と言って抱き締めた。
私は大学に入ってからはじめて出来た友達を失わずにすんだ。
どうして気が付いたのかと聞くと、芽衣子は「理香がわかりやすいから」と言った。
けれど芽衣子以外の友達は、奏人との関係に気付いていない。
「服装やメイク、雰囲気が変わった」「彼氏でも出来た?」とは言われたけど、適当に笑って誤魔化してしまえば言及はされなかった。
きっと私がわかりやすいのではなく、芽衣子が鋭い。
「芽衣子、理香ちゃん」
綿菓子のような甘い声で呼ばれる。
振り返ると、ゆき乃ちゃんが微笑んでいた。
「これ、よかったら二人で食べて。
食べきれなかったら、他の人にもあげていいから」
テーマパークのキャラクターが描かれた缶を差し出される。
中身はチョコレートだった。
芽衣子はさっそく包みを開けて口に放り込む。
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