イッツ・ア・ドッグショー

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「あ、美味しい。これ止まらないやつだ。 ありがと、ゆき乃。彼氏と行ってきたの? ここ、チケット取るの大変なんじゃない?」 「お仕事で、ご招待チケットっていうのを貰ったみたい」 「社会人の彼氏って感じだね。 どうしたの? 理香も食べたら?」 「口のなか、ミントですごいスースーしてて無理……」 まだミントでいっぱいの口に、チョコを入れるのは微妙だ。 せめてもう少し経ってからにしたい。 芽衣子は三個目のチョコレートに手をのばす。 「ふふ、じゃあ後で食べてね。 芽衣子、ひとりで全部食べちゃダメよ。 ちゃんと理香ちゃんの分は取っておいてね」 「ありがとう、ゆき乃ちゃん」 ゆき乃ちゃんはふんわりと微笑み、その場を離れた。 かわいいかわいい、綿菓子みたいなゆき乃ちゃん。 私はまだ、ゆき乃ちゃんに慣れない。 どうしても劣等感が邪魔をして、うまく話せなくなってしまう。
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