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周りを見渡せば、頭の回転が速い子、話すのが上手でムードメーカーな子、容姿の秀でた子、個性的で注目を集める子。
私以外はみんな「自分のラベル」を持っていた。
すべてにおいて劣った私は、自分の立ち位置がわからなくなった。
それまでは立ち位置なんて考たことはなかった。
考えなくてもそこには自然と自分の役割があった。
人に必要とされ、それに応える。
そうしているうちに「優等生で周りに信頼されている、お友達のたくさんいる理香ちゃん」というラベルが出来上がっていた。
所詮、私は田舎の小さなコミュニティーで上位にいただけの人間だった。
一歩社会に出てしまえば、一気に底辺。
ずっとそれに気づかず、お花畑の住人のように生きてきた。
―――本当に、おめでたい馬鹿。
奏人は私を馬鹿な犬と言うけれど、それは馬鹿な犬に失礼かもしれない。
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