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「……由実も、殺してしまった……」 自身が埋められていた穴の底を見つめ、多々良はぼんやりと呟いた。 裏切られた報復に、親友どころか恋人までも刺し殺してしまったが、いざ復讐が果たされても、燻っていた自らの思いは少しも晴れることなく、余計にどろりと澱んで濁ったようにも感じられるだけだった。 ────殺人鬼 恋人の由実に突きつけられた一言が、刺さって抜けない棘のように、多々良自身をじくじくと腐食させていく。 「……殺人鬼、か」 「そうだ、その通りだ」と、恋人を手にかけたあの時と同じようにも自答をして、 「結局、俺は、二人も殺してしまった……。殺人鬼でなくて、なんだと言うんだ……」 多々良は、自らを嘲るように掠れた声を上げてせせら笑った……。
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