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3話
「これがわしと少女、いやお前さんの妹のミリィとの出会いだよ」
いつの間にか部屋から少年は姿を消しておりレオナルドと村長の間に沈黙が生まれた。沈黙を破ったのはレオナルドだった。
「いや、そんなはずがない。だって、ミリィは!」
耳を覆ってしまいたくなるほど悲痛な叫び声。
崩れ、消えていく馬車。
視界いっぱいに広がる燃え盛る炎の赤。
自分から吐き出される震えた呼吸音。
悪夢のような光景がフラッシュバックする。
苛立ちに任せ、レオナルドは立ち上がり叫んだ。
「...ミリィは、あの子は俺の前で死んだんだ!王家に嫁ぐ前日、城へ向かう馬車が崖から落ちて!それに、村長はミリィを少女と呼ぶがあの子が死んだのは18だ!あんたはミリィを少女なんて言うがあの子は少女なんて歳じゃない!」
認めたくなんてなくて、息が続く限り叫び続け乱れた呼吸を整える。
ミリィは死んだ。この目で確かに見たんだ。
こんな話信じられるはずがない。
認められるはずがない。
だけどあの子どものアメジストの輝きはミリィのもので期待、戸惑い、苛立ち、怒り、後悔。色々な感情が一気に押し寄せ、レオナルドはその場にしゃがみこんだ。
そんなレオナルドの様子を村長は憂いを帯びた瞳でじっと見つめていた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「信じられるわけが無いさ。あの子は秘密を好んだ。わしにもあの子について知らないことは山ほどある。今すぐに信じて貰わなくてもいい。もう少し、もう少しだけ、わしとミリィが過した時間の話を聞いてはくれんか?」
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