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「...。」
レオナルドの無言を肯定だと捉えたのか、村長はどこかほっとしたような表情でミリィとの出会いの続きを話始めた。
あの夜、リント老夫婦の元を訪れてから少女は丸一日目を覚まさなかった。
検査では大きな怪我や異常は見当たらず、少し体を休めたら目を覚ますだろうとという診断結果だった。
異常はないとは言うものの、本当に息をしているのか不安になるほど静かに眠り続ける少女の姿に村長は不安を抱かずにはいられなかった。
この真っ白の部屋に命に縋り付き必死に生きようとする少女の姿はどこにもない。
あるのは、静かに静かに眠り続ける小さな少女の姿だけ。
このまま彼女のそばを離れたら、1人にしたら、息をすることを命を、諦めてしまうかもしれないと村長は怖くて仕方がなかった。
ずっと少女の側で見守り続ける村長にボドは声をかけた。
「心配になる気持ちも分からなくは無いがこのままでは、お前さんの身が持たん。この子はお前さんが目を離したくらいでは死にはせん。」
「だが...」
「彼女がそんな簡単に死んでしまうと思うのか?命に縋り付く彼女の姿に村長は心を動かされたんじゃろ?それに、お前さんが彼女を見守ってても何も出来ることはない。このまま、一睡もせずここにいるつもりなら、ここから出ていってもらうぞ。」
ボドの表情は柔らかいが、有無を言わさないその言葉に村長はしぶしぶ隣に並ぶベッドに入り込んだ。
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