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柔らかな風に栗色の髪を揺らしながらルーナはパーティー会場へと向かう。
パーティー会場へと着き、ルーナを探していた護衛や召使い達に謝り今か今かと待ち構えていた招待客たちの前に姿を現す。
みんなの望むビータス家のお嬢様として。
偽りの笑顔で...。
だってみんな偽りの私を必要としているから。
8年ぶりに誕生日パーティーという名の社交界に姿を現したルーナにパーティーの出席者達は代わる代わる祝いの言葉を並べていく。
中には祝いの言葉よりもルーナを通じて、お父様に会おうとする者やビータス侯爵家との繋がりを深めようと聞いてもいない自らのことを話そうとする者もいる。
一人一人に笑顔で対応していき、徐々に周りを囲んでいた出席者達が減っていくのを確認してルーナはホッと息を吐く。
マナーなどは学んでいたものの、1人で社交界に出るのは初めてで緊張していたが何とか上手くやれている。
「頑張れ」
両手で拳を握り胸の前に持ってきて小さくガッツポーズをし自分を励ます。
その時。
「ルーナ!誕生日おめでとう。今日はこんな素敵なパーティーに招待してくれてほんとに嬉しいわ!」
そう話しかけてきたのは昔からビータス家と交流のあるヴァルアス伯爵家の一人娘エミリアだった。
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