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「久しぶりね。エミリア。少し気合を入れて準備したからそう言って貰えると嬉しいわ。」
昔からエミリアは父、エリクと共にビータス家を訪れており一緒に遊んだことも何度もある。
だが、彼女の不意に出る見下すような瞳がルーナは昔から苦手であまり関わりを持ちたくないと考えていた。
もう挨拶を終えたしこれ以上ルーナからは話すことはなく、その場を離れようとするがエミリアはまだ逃さないとばかりにルーナを引き止めた。
「そういえば...今日はレオナルドおじ様の姿が見えないようだけどいらっしゃらないの?」
おじ様...。なにその呼び方。
いつの間にそんなに仲良くなったの?
お父様はその呼び方を許可したの?
モヤモヤと自分の醜い感情が湧き上がるのを感じる。
「お父様は公務でお忙しいの。だから今日は来られないわ。」
8年振りに誕生日パーティーを開くことにしたのはレオナルドの言葉がきっかけだった。
『来月誕生日なんだが、あの日から8年も経ったんだ。もういいだろう...。誕生日パーティーを開こう。』
珍しく2人揃っての食事中。
会話らしい会話を最後にしたのはずっと昔。
食器の音だけが響く部屋にレオナルドの声が響いた。
久しぶりに聞いたレオナルドの声。
耳を疑うような内容。
耳に届いた内容が信じられなくて思わず食事の手を止め、夢でないことを確かめるようにルーナはレオナルドをじっと見つめる。
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