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0.クラスで噂の
ピピピ...ピピピ...
目覚まし時計のうるさい音で目が覚める。
9月1日。昨日の夜は大雨だったのにもかかわらず、雲ひとつない青空だ。
「ふあぁ...今何時...?」
今日から学校が始まる仁奈にとっては最悪の朝だった。昨日は終わっていない課題を終わらせ、やっと寝れるかと思ったら雨風の音で眠れないということがあったのだ。
「学校...急がないと...」
重い体を起こし、顔を洗い、制服に着替えた仁奈は朝食を食べに下に降りる。
「ちょっと仁奈?そんなにのんびりしているけれど、時間は大丈夫なの?もう8時過ぎよ?」
今、母はなんと言ったのだろうか。
8時過ぎ。
その言葉は寝ぼけたままの仁奈を起こすには十分な言葉だった。
「うわぁぁ!行ってきます!!」
慌てて飛び出ていく仁奈を全くという顔で見つめる母がいたとか...
「あ...焦った。ここまでノンストップだ...」
信号に捕まりそうになりながらも猛ダッシュでここまできたのだ。時間は問題ないだろう。
有沙「あれれ、おはようにーな!朝からそんなに急いでどうしたの〜!」
バスから降りて駆け寄ってくるこの小柄な女の子の名前は巴 有沙。昔から体が弱いため、バスで通っている生徒だ。
「聞いてよ...朝朝食食べようとしたらお母さんに8時過ぎって言われて...急いで出てきたんだよね。それでここまでノンストップ。」
うわぁ...といいながらこちらを見る有沙をくすくすと笑いながら歩く仁奈。
今日からナニカが変わるとも知らずに。
有沙「そういえば仁奈ってアイノマリティやってるよね?最近私も始めたから、アイプロフィール交換しよ!」
今有沙が話しているのは最近流行りだしたゲーム、「アイノマリティ」の事だ。アイノマリティは、自分のアバターを作り、謎を解きながら物語を進めていくいわゆる謎解きゲーだ。アイノマリティの中にアイプロフィールというプロフィール交換機能があり、友人と協力して物語を進めることができるようになる機能だった。
「いいよいいよ〜!交換しよ!」
__ARISAがトモダチになりました!___
ピコンと言う電子音の後に追加されたという文字が出てくる。
有沙「ふっふっふ...にーなが居れば簡単に物語進むぜ!」
「私全然進んでないですぅ〜!」
いつも通りの会話
ざわついた教室。
「先生来るから席戻りな笑」
いくら待っても先生は来なかった。
もうすぐ1時間目が始まる時間だ。
A「おかしいよね?」
B「せんせーどうしたんだろ」
C「さすがに遅すぎねえか?」
クラスの皆も心配になってきた時、放送が入った。
《コレカラ、アイノマリティヲ始メマス》
機械のような無機質な声、少し不気味に思った仁奈は席を立ち、有紗の方へと向かった。
「ね、ねえ有沙、アイノマリティってあのゲームだよね...?」
有沙「う...うん。そうだよね...そういえば、あんな気味の悪い声で喋れる人いないよね...?」
?「ぁぁぁ!なんなんだよもう!」
声のする方に目を向けてみると、いじめっ子の高原 岬が声を荒らげていた。
岬「先生も来ねぇし変な放送は入るし、もうなんなんだよ!」
明らかに不機嫌そうな岬を知らんふりしてまたまた放送が入った。
《ソレデハ、ゲームステージ二移動シマス》
そこで私達の意識は途切れた。
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