第10話 告白

5/6
前へ
/224ページ
次へ
『冷静になって。鈴子』 『海外支店帰りで社長のお気に入り、高身長でイケメンのエリート男』 『あんなハイスペック男が鈴子を好き?』 『遊ばれているだけじゃないの?』 その声にドキッとした。 ハイスペック―――そうよ、冷静になって。 一野瀬部長のような人が私を好きになる? 交流もほとんどなかったのよ? いったいなにがきっかけで? 自慢じゃないけど、私は人付き合いも悪いし、会社の人に誘われてもお断りコースまっしぐら。 飲み会はことごとく断ってきた。 会社では影のような存在だと自分では思っている。 そんな私に告白してなんの得があるっていうの? 違和感がある―――そう、例えば、他の目的があるとしたら? 告白されたからって私を好きだとは限らない。 一野瀬部長ほどの人だ。 なにか思惑があるに違いない。 スッと探偵ポーズに戻る。 私を彼女にして葉山君との隠れ蓑にしようとしているとか? その可能性もゼロじゃない。 「もしかして、俺が遊びだと思ってる?」 無言だった私に一野瀬部長が話しかけてた。 「えっ!そ、そういうわけでは」 「俺は今、誰とも付き合っていない」 「い、意外です」
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2543人が本棚に入れています
本棚に追加