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『冷静になって。鈴子』
『海外支店帰りで社長のお気に入り、高身長でイケメンのエリート男』
『あんなハイスペック男が鈴子を好き?』
『遊ばれているだけじゃないの?』
その声にドキッとした。
ハイスペック―――そうよ、冷静になって。
一野瀬部長のような人が私を好きになる?
交流もほとんどなかったのよ?
いったいなにがきっかけで?
自慢じゃないけど、私は人付き合いも悪いし、会社の人に誘われてもお断りコースまっしぐら。
飲み会はことごとく断ってきた。
会社では影のような存在だと自分では思っている。
そんな私に告白してなんの得があるっていうの?
違和感がある―――そう、例えば、他の目的があるとしたら?
告白されたからって私を好きだとは限らない。
一野瀬部長ほどの人だ。
なにか思惑があるに違いない。
スッと探偵ポーズに戻る。
私を彼女にして葉山君との隠れ蓑にしようとしているとか?
その可能性もゼロじゃない。
「もしかして、俺が遊びだと思ってる?」
無言だった私に一野瀬部長が話しかけてた。
「えっ!そ、そういうわけでは」
「俺は今、誰とも付き合っていない」
「い、意外です」
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