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「そうか。迷惑じゃないようで安心した」
一野瀬部長のそんなセリフに我に返った。
もしかして、これって付き合うことになったの?
「あっ、あの、一野瀬部長……」
にこっと一野瀬部長に微笑まれただけなのに私の言葉はどこかに旅立っていってしまった。
帰ってきて、マイワード。
「二人の時は名前でいい」
名前!?
そんな親密な感じですかっ!?
あまりの衝撃に吐血しそうになった。
「それじゃあ、鈴子。また会社で」
名前呼び。
そして私の返事をじっと待っている。
「わかりました。た、貴仁さん」
どうやら、私と一野瀬部長は恋人になったようだ……
促されるように名前を呼んでしまったけど、これで本当によかったの?
今ならまだ間に合う。
『私と一野瀬部長じゃ釣り合いません!だから、お付き合いできません!』
自分という人間を考えれば、それがベストな答え。
けれど、私のキャライメージぴったりな彼。
『俺を激しく愛してくれよ!』の貴瀬部長のイメージ通りの狡猾さ。
そう彼は葵葉を手に入れるためなら、どんなことも厭わない!
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