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高級ホテルの隣のマンションに二人は入って行った。
「こ、これは―――!?」
ズサッと高級マンションのエントランス前まで走って行った。
のぞくと一野瀬部長か葉山君の持っているレジ袋を受けとる姿が見えた。
そして、レジ袋に入った買った食料をのぞき、葉山君になにか言っている。
一野瀬部長はレジ袋から、鍋用のスープの素を取り出し、二人は仲良く話をしながらエレベーターに乗っていく―――
和食料理人の姿をしたミニ鈴子が現れた。
『どうやら、鍋のようですぜ』
『二人で鍋』
『まだ春先ですからね。夜は肌寒い』
『鍋でアツアツ。二人もアツアツといったところですか』
ミニ鈴子達は真剣だ。
いや、私も真剣。
二人のアツアツな姿を目撃した彼女(数分前になったばかり)という立場。
ひゅうっーと冷たい春の風が吹いていた。
スプリングコートを着ているから、寒さ対策はバッチリなはずなのに寒く感じた。
きっと、二人のあんな姿を見せつけられたせい。
「やっぱり私って隠れ蓑的な彼女のポジションなんだ……」
少しの時間だったけど、悩んで損した。
さっきのパニック状態な自分を叱ってやりたい。
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