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そんなことあるわけないのよ、落ち着きなさい鈴子と自分に言い聞かせた。
ミニ鈴子がポンッと肩を叩く。
『元気だしなよ』
『今日は一人鍋に日本酒といこうぜ』
『お一人様用の土鍋があるだろ?私達にはさ』
今の私にはその優しさが身に染みる。
そうだね……
女としては失格かもしれないけど、BL作家としては大収穫だったよ。
それだけが救い。
あの二人のアツアツぶりを間近に見られただけでもありがたいと思おうではないか。
私があんなすごい人に言い寄られるなんてことありえない話だった。
ぐしっと涙を手の甲でぬぐった。
ハイスペック男と一瞬でも『まさか私が告白されちゃうなんて。ドキドキ』という気分を味わえただけでもヨシとしよう。
さあ、帰ろう。
我が城へ。
今夜は鍋だ……一人鍋。
そう思った瞬間、スマホが鳴った。
「ん?メッセージ?」
誰からだろうと画面をのぞくと一野瀬部長からだった。
「えっ!?どうして?」
『鈴子。今日はありがとう。次の休みに二人ででかけないか?』
これはもしや、次の約束の連絡!?
それも夜の水族館。
ムードたっぷりな恋人同士がでかけるにふさわしいスポットのチョイス。
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