第12話 足りないのは

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つまり、男女の恋愛ものをたくさん読めば、ありとあらゆるシチュエーションに対応できるエキスパートになれるはず。 ノーメイクだったけれど、急ぎ足で本屋に向かって、三階に駆けあがった。 そして、ジャンルが書いた案内板を探す。 くっ……!しまった!私としたことが。 滅多に訪れないエリアだから、どこに男女の恋愛ものがあるのか、すぐにわからない。 三階の売り場をぐるりと二周した。 ようやく見つけることができた。 我が砂漠のオアシスよ! すっと両腕を広げた。 「ここが知識の宝庫……!」 残念ながら、ミニ鈴子達は出てこなかった。 ジャンル違いだからか、いまいち気分が乗らないらしい。 「し、しまった!どれを読めばいいの!?」 ブランクがありすぎてなにを選んでいいかわからない。 これは完全に恋愛迷子。 いろいろ手に取るも迷いすぎて、具合が悪くなってきた。 「情報量が多すぎて貧血がおきそう」 ぐらぐらしていると、店員さんが近寄ってきた。 「なにかお探しですか?」 いつもの店員さんだった。 私が普段と違うジャンルの売り場にいたから不思議に思ったのかもしれない。 そうだ!
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