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「どれどれ……」
ぱらり。
ページをめくる。
「これが恋する乙女……」
わかるー、わかるよー。
私もさぁ、仕事でいろいろあるからさぁー。
「この距離感、最高!いいぞ、もっとやれ!」
酔っぱらいの親父のように絡みながら読んだ。
物語は最高潮。
「ぎゃー!せんせーい!クリスマス、キタコレ!むずきゅん、むずきゅん!」
興奮のあまり、ゴロゴロとベッドの上をハイスピードで転がって―――そして、背中から床へと滑り落ちた。
「ぎゃふっ!!」
あー……天井が見える。
そして、背中が痛い。
「い、痛ぁー……」
勢い余ってベッドから転がり落ちてしまった。
私は痛みと自分のマヌケっぷりにしばらく呆然としていた。
誰もこの失態を見ていない。
これが一人のいいところ。
一人静かにもそもそとベッドに戻り、そっと続きを読む。
何もなかった。
うん、何事もなかったよ。
二十八歳、新織鈴子。
今になって必死に男女の恋を学んでいます―――
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