第13話 鍋【貴仁】

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さすがにこれは―――少し学べよと言いたくもなる。 和風鍋スープの素はまだわかる(いらなかったが) なぜ鍋にセロリ? 笑いを取ろうと思ったのか? 晴葵(はるき)に鍋の材料を頼んだのだが、買ってきた内容が俺の思っていたラインナップと違っていた。 甘やかされて育った晴葵はまったく料理ができず、カップ麺にお湯を注ぐか、コンビニ弁当を温めるくらいが精一杯だ。 そんな晴葵を心配した母の妹であるおばさんから、『たまに晴葵の様子を見てあげてね』と頼まれ、その食生活を管理していた。 料理は得意な方だ。 だから、それは構わない。 構わないのだが――― 「おい!マロニーを忘れているぞ!」 レジ袋を見た瞬間に俺は気づいた。 鍋のわき役だが、いるとなんだか嬉しいマロニーがいない。 「あー、忘れてた」 忘れてたじゃねえよ! それだけじゃない。 なんだ、このチョイス。 お弁当ミートボール(鶏団子用のひき肉を頼んだ)とウインナーソーセージ。 遠足のお弁当かよ。 「なあ、俺は鍋の材料って言ったよな?」 「言ってたね。だから、俺の好きな物を買ってきたけど、なんか間違ってた?」
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