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クッションが飛んできたのを華麗にキャッチし、すぐに投げ返した。
どむっと晴葵の頭にあたり、悔しそうな顔をしていた。
なんとでも言え。
この社内一周男が!
そんな男にあの真面目で清廉な新織を渡せるか。
携帯ゲーム機で『ときラブ』をプレイしながら、俺は言った。
「晴葵。お前も少しはこれで勉強したらどうだ」
「しねーよ!」
「新織と次のデートの約束もしておこう」
「なんでこんなやつと……新織さんが……」
誰がこんなやつだ。
「晴葵、お前に質問だ」
「ん?」
俺はおもむろに『ときラブ』の画面を晴葵に見せた。
「デートの誘い方で正しいのは?」
→【龍空。次はいつ会える?】
【龍空。今日は楽しかった。ありがとう】
「上かな」
晴葵の選択肢を選ぶ。
画面上の龍空の表情は曇る。
龍空『……少し考えてからでもいいかな』
困惑顔の龍空と同じく困惑顔の晴葵。
「は?なんでだよ?さっさと次のデートの約束したほうがいいに決まってるだろ!」
「お前はもっと女心を学ぶんだな」
「うわっ!なんか腹立つな!」
ワンクッション置いてからのデートの誘い。
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