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ガラス張りの店内からは外がよく見える。
買い物でもしてから帰るのだろうと考えながら見ていると、ドラッグストアの駐車場に停めてある一台の車の前で陽菜子が立ち止まった。
車のドアが開き、陽菜子と歳の変わらないの男性が出てきて、2人は笑い合いながらドラッグストアに入っていった。
……へぇ。陽菜子、彼氏がいたんだ。
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タイムカードを押した私は、更衣室の中で一人苛立ちを感じていた。
接客も得意で字も上手くて彼氏もいて、何より自分が好きな事で生きていけるなんて、ズルい。
順風満帆という言葉を具現化したような陽菜子。
陽菜子が語っていたのは私が叶えたかった夢だ。
だけどそれを叶えられている人間なんて、世の中にどれくらいいるの?
ほとんどの人間が、妥協で、お金を稼ぐ為に仕事をしてるんでしょ?
バイトだって私より後から始めたくせに、人望も夢も掴んでしまうなんて、不公平すぎる。
私はロッカーに拳を叩きつけた。
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