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「なんか悪いね?
陽菜子よりも有名になっちゃって!」
店全体に掃除機を掛け終わったばかりの陽菜子に話し掛ける。
「私にはまだ無理だなって思ったから断ったんです。悪いなんて思わないでください。
杏さんの努力が報われた結果ですから」
「努力っていうか、まあ実力?手を抜いて作っても、どうしても才能が溢れ出ちゃうんだよね」
「ヘ、へぇ。そうなんですか。
あ、もうお客様が外で並んでますね?
しかも何だか珍しい年齢層……」
店の外にいた10代後半くらいの若い者が、スマホをいじりニヤニヤしながら、自動ドアのガラスをノックするように叩きはじめた。
何だろう?
S-1グランプリの影響で、若者が和菓子に映えを求めるブームが来たとか?
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