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決意。
最近、5年程付き合っていた4歳年下の彼氏にフラれた。
世の中の年下男にだけ配られるマニュアルでもあるのかってくらいのお決まり文句。
『君は俺が居なくても大丈夫でしょ?』を繰り出され、呆然としている内に逃げられた。
これまたテンプレ中のテンプレ、キングオブテンプレな展開で逆に笑ってしまったのだが、年下の庇護欲を掻き立てる感じの女の子と翌日には付き合い始めたらしいと、お節介な共通の知り合いが教えてくれた。
その時、気の毒そうな周囲の反応も相まって、私は呟いた。
「控えめに言って死にたい。」
それに対して一人の知人が笑顔で言った。
「冗談言えるなんて、思ったより元気そうで安心した。」
冗談なもんか。
目の前で死んでやろうか?
別れ話の時。
奴は最初『話がある。』なんて勿体つけた言い方をしやがった。
それを聞き、呑気な私はプロポーズかも?なんて一瞬にして浮かれてしまった。
それなのに次の瞬間吐き出されたのは、非情にも別れの言葉なのだから、正に天国から地獄だった。
そんな月並みな表現しか浮かばないくらい、この出来事は衝撃的で。
それなのに、心の何処かでは『またか。』と納得していた所もあって…。
今回は5年も続いていたから忘れていたが、私は昔からこうだった。
必要とされて、調子に乗って何でも受け入れて。
相手の行きたい所に何処までも何時までも着いて行って。
急に手を離される。
知らない場所。
私が来たかった訳でもない場所。
そこにほっぽり出される。
なのにいつも平気なフリをしてしまう。
立ち去る後ろ姿をただ見送る。
正しいストレスの吐き出し方というのを学ばないままここまできてしまった。
辛いのは今だけで、その内笑える様になる。
そう言い聞かせてやり過ごす方法しか知らない。
今現在、物凄く苦しい筈なのに、何食わぬ顔で日常生活を送ってしまう。
内心は、5年間当たり前に存在していた支えを失った喪失感で、一層の事狂ってしまいたいと思う程に息苦しいのに。
更に一週間後には28歳になるというこのタイミング。
結婚願望は強くないが、流石に女として色々と絶望した思考にもなるってものだ。
だから折角なので、この機会に心機一転、自暴自棄なんてモノになってみようかと思う。
元彼が新しい彼女と楽しい生活を始めたって言うのなら、私だって新しい事に挑戦してみよう!と、後ろ向きに前向きな考えが浮かんだ。
男に捨てられた女が自暴自棄になった時にする事と言えば一つしかない。
そうです。
私、ビッチになります。
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