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第1章「いつもの生活」
ピーヒョロローと、アカショウビンの鳴き声がして、障子から差し込む細やかな光が目元に溢れて、朝の始まりの臭いがした。それは、アロマオイルとかそういうきつい、存在感がすごくある様な臭いじゃなくてほのぼのする様な温かい、1日の始まりの臭い。私は「未沙岸•美百合。(みさぎし•ミユリ)」。私は、このお宿の店長。少しまだ眠いが、起きる事にする。
「ふあぁ〜」
と、私はあくびをした。サンダルを履いて、サンゴやかいが敷き詰められた宿内を歩くと、サンゴがジャッジャッジャッという音をたてる。その音は、何だか気に入る音だ。まずは歯を磨いた。次に、洗濯物を干す。私は洗濯機を開けた。昨日お客様は帰ってしまったので、中に入っているのは、私の服だけだ。
「よく見返してみると、結構可愛い服だなぁ」
と、私はつぶやいた。その服は、白地に、赤瓦の屋根があり、その上にはシーサーが乗っている。もう一枚。服の右肩の下辺りに、アカショウビンが描いているTシャツ。今にも「ピーヒョロロー」
何かと鳴きだしそう。そんなある日、ミユリは、不思議な体験をする事になる。それは、夢から始まった。それは、こんな夢だった。いつもの様にミユリが、たきどぅん(店名)にいって、アイスキャンデーでも食べようかと歩いていると、屋根からシーサーがピョイと降りてきて、
「ミ、ユ、リ」
と言ったのだ。顔が怖い。何というか口の中に歯が結構ギザギザとはえている。
(噛まれたら相当痛いぞこりゃ。)
と私は思った。それにこの声。地獄の底から響く様な低い声。
と言うような夢だった。なんだか知らないけどしきりにたきどぅんに行きたくなったので行く準備をした。
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