狂気に沈む地の底から

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「ちなみに、君はどうだったの?」  500を小馬鹿にするようであれば、それなりに良い数値だったのだろうと、魔王は聞いてみた。 「実は今のところ一番高くて、3万2000です」 「3……ッ! あ、そう……すごいじゃない……」  想像していた以上に高かったので、魔王は若干たじろぐ。  こんな道具を作る者は、てっきり頭脳派の後方支援キャラだと思っていた。  「魔王様も計ってみますか?」  部下Aは変わらず上機嫌で魔王に計測を促した。  当然の流れではあるが、魔王は少し緊張する。自分が一番強いという自負はあったが、今までの感覚が当てにならない以上、万が一もあるかもしれない。  しかし断る理由も無かったので、魔王は恐る恐る体温計を脇の下に挟んだ。  暫く、無言が流れる。  音がなる。  脇の下から体温計を外し、部下Aと共に数値を覗き込む。  ――3万7000。  勝った。  が、微妙過ぎる。目の前の部下Aと5000の差しかない。  魔王はなんだか少し恥ずかしくなってきた。どう反応すべきかもよくわからず、魔王は黙る。  暫く間が空き、部下Aが口を開く。 「いや、さすが魔王様です。この城で最強は、やはり魔王様でしたね!」  明らかに気を使っているのが、魔王にもわかる。  魔王は少し考えて、話す。 「君と5000しか変わらないんだけど…… 部下1匹分しか違わない……」  魔王はショックを受けていた。  部下Aと他のちょっと強めの魔物が一緒に襲ってきたら、良い勝負になってしまう計算だ。なんなら数の暴力で、タコ殴りにされるかもしれない。それに、なんだか5000くらいの差であれば、体調次第で簡単に覆ってしまうような気さえしていた。
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