狂気に沈む地の底から

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 どこまで本気にしてくれているのか、魔王にはよくわからなかったが、素直に同意してくれた部下Aの態度に、少し気分が上向く。 「最近腰がね……痛いのよ。これさえ無ければ、とは思うよ」  実際には生活に支障が出る程の痛みではなかったが、この際なので魔王は誇張した。 「ですよね! 魔王様がこんなもののはずがない!」 「実は今着てる服、80キロくらいあるし」  気分が上向いた魔王は、さらりと誇張を続ける。実際は1キロもない。むしろ普通の服より薄手で軽くて肌寒い。 「うぉぉ……さすがです、魔王様」  リップサービスに素直に反応する部下Aを見ていると、魔王の気分は更に乗ってくる。 「実は私、変身できる。しかもあと2回できる」  そんなことはできない。  しかし、気分の良い魔王はまた話を吹かした。 「うおぉぉ……す、すげぇ。倒したと思ったら姿を変えて復活する、よくあるアレですね? なんて魔王っぽいんだ……」  魔王の気分は、もう絶頂しそうだった。 「200倍……」 「200?」 「1回目の変身での私、200倍は固い」 「すげぇぇぇ!」  不思議な道具も作れて強くて気遣いもできて素直で良い奴。コイツすごいな、と魔王は思った。
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