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日が落ちてから手を繋いで歩く男女が増え、俺の格好を一瞥して通り過ぎていく人も増えた。別にクリスマス・イブにバイトだからって「あの人可哀そう」みたいな表情を向けて見ないで欲しい。好きでやってんだからほっとけ。
「すみません、ケーキってまだあります?」
「はい、まだあります。中にどうぞ」
平日なので仕事終わりに来る人も増えてきた。大体は事前予約をしていた人がケーキを取りに来る日なのだが、予約をしていない人でも今日買えるように、ピースケーキの販売をしている。俺はそれの呼び込みアルバイトだった。
店の中では五十代の夫婦が、来てくれたお客さんと会話しながら商品の準備をしている。この店の経営者で俺の母の姉、つまり俺にとって伯母さん夫婦だ。二人は子どもに恵まれず、ずっと二人でこの店を経営している。伯母さんは俺のことを自分の子どものように接してくれて(よく「あんたのおむつ、わたしが換えたのよ」と言う)、面倒を見てくれる。
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