12月25日前夜

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 今日だって独り身の大学生の俺に「客寄せパンダになれ」とサンタの格好をさせて、寒い店外でアルバイトをさせてくれているのだ。もう感謝しかない。色んな意味で泣ける日だった。 「いらっしゃいませー。クリスマスケーキはいかがですかー」  夜の八時になると、客足も減ってきた。吐く息は白く、指先も足先も感覚はない。  そもそもクリスマスとはイエス・キリストの降誕祭であって、キリストの誕生日ではない。誕生を祝う祭りなのだ。それなのに誰も「イエス・キリストおめでとう!」などと祝福の声を上げる者はいない。まぁそれも無理はないか。だってここは日本なのだから。  寒さで支離滅裂な思考回路に陥っていると、後ろから声を掛けられた。 「あっくん、お疲れ様」 「あ、伯母さん。お疲れー」  店内から出てきたトナカイの角を生やした伯母さんは、俺の手にホットココアの缶を置いた。 「寒かったでしょ。もう売り切れたから、今日は上がっていいよ」 「おお、ありがとう。そっか、完売か。俺、役に立った?」 「うん、とっても。チョコケーキ1ピース、まかないで箱に詰めてるから、持って帰って食べてね」 「やった! 欲しかったんだよ。ありがとう」
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