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ケーキを売っておいて自分で食べられないのは寂しいよな、と思っていたので、伯母さんの計らいがとても嬉しい。ホットココアの缶を両手で包み持って、先に店内に入った伯母さんの後を追うように足を店に向けると。
「あの、すみません。もしかして、もうケーキって、完売しました……?」
遠慮がちに話しかけられたので振り返ると、そこには三十代の小柄な女の人と、五歳くらいの男の子が手を繋いで立っていた。男の子は繋いでない方の手で、何かを大事そうに抱えている。
「あ、はい、すみません。ちょうど今完売しまして……」
「そうですか……」
かなり落胆した様子の女の人は、男の子の目線までしゃがんで「もう売り切れちゃったって。今日は諦めようか」と、優しく諭した。
すまない少年。また明日ご来店くださ……
「ヤダっ! 今日がいいっ! 今日ケーキ食べるんだっ!」
「でもね、お店のケーキ、もう売り切れちゃったから無いんだって。明日また来よう?」
「ヤダぁ今日がいいんだもん~~~」
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