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①
小さい頃から「わたしは鳥籠の中の鳥みたいだ。」と思っていた。自由に空を飛び回ることも出来ず、狭い鳥籠の中で毎日を過ごすだけの鳥。たまに鳥籠の外に出してもらえても部屋の中を飼い主の監視の元、飛ぶだけ。そんなふうにして過ごした鳥たちは外の世界に出られたとしても生きていけないだろう。それはまさにわたしの姿。わたしは毎日を家の中で過ごしていた。とはいっても、流石に監禁されていたわけではない。しっかり幼稚園にも学校にも行っていた。でも、わたしが外に出られるのは学校と塾や習い事くらいだった。どちらも何時に家を出て何時に帰ってくるのか母親から把握されていたため、少しでも帰りが遅いと「心配したのよ!」と騒がれたり、探して迎えに来てしまったりすることもしょっちゅうだった。友達と遊ぶ回数もかなり制限されていた。わたしは同年代の中でもトップレベルで遊んでいないという自信がある。母親はちょっとしたことですぐに怒り出す上にいつまでも怒りを引きずるタイプだったし、父親は短気で怒るとすぐにものを破壊するタイプだった。だから、幼い頃からわたしは両親の顔色を伺いながら生きてきてきた。少しでも嫌な顔をしそうなことやダメと言いそうなことは最初から聞いたりしなかった。友達と遊ぶ約束も頻繁にするといい顔しないのを知っていたのであまり約束しなくなった。わたしにとって友達は学校で一緒過ごすだけの存在だった。母親はわたしが家で何をしているのか、何時から何時まで学校や塾に行っているのか、誰とどこで遊んでいるのか、いつ帰ってくるのかを完璧に把握していた。母親はわたしがどこで何をしているのかわからないことを非常に嫌がった。そして、常に自分が正しいと信じていた。だからこそ、なんでもかんでも自分の意見に従わせたがった。わたしは怒られたくなかったから、全て母親の言うことに従った。自分が選びたい方があっても母親が勧める方を常に選ぶようにしていた。そうしているうちにいつしか自分の気持ちが分からなくなっていった。完全に母親の操り人形だったし、母親にとってわたしは自分の都合よく動く駒だった。
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