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この毎日電話をくれた子がよく離れていかなかったなぁと思います。きっと相当やばい親だと思われていたことでしょう。この友達のように遊びに誘われても断らなくてはならないのが申し訳なくてわたし自身も学校では友達とは一緒にいるけど遊びには誘われないくらいの距離を保とうとするようになりました。今の社交性の低さはここからきているのでしょうか。  そういえば、わたしが「初めて電車に乗って遊びに行こう。」と誘われた時もダメと言いましたね。電車でたった20分。それも市内なのにです。これはたしかお父さん、あなたが最後までいいと言いませんでした。中学に入れば活動範囲がもっと広がる。そう思っていたわたしにはショックでした。部活の大会では行ったこともない試合会場まで電車だけでなくバスも乗り継いで生徒だけで行ったこともあるというのに…。なぜそれが良くて親とよく行き慣れた電車でたった20分の大きな駅に行くのがダメだったのでしょうか?今でもよくわかりません。  思えばわたしは同級生の話にも全くついていけませんでした。あなた方、特にお母さん、あなたがテレビを見ることを制限したからです。中学校に入るとドラマが流行っていました。学校に行くと 「昨日見た?」 から始まり、皆が口々に感想を言い合っていました。しかし、あなたはドラマを見ることを禁止していましたね。理由は一度見ると続けてみたくなるからです。別にいいじゃないですか。1週間に何本もみたいと言っているわけではなかったんです。1週間に1回くらい見せて欲しかった。それにあなたはドラマなんて面白くないと否定していましたね。そのくせわたしが大学に入った後にあるドラマにハマり、しょっちゅうその話をわたしにしてきましたね。ほんとイラつきました。それにもっと酷かったのは見たい番組録画制度でした。ルールはこうです。 ・見たい番組は全て録画する。 ・録画したものは必ず古いものから順番に見る。 ・母親が見たくないものは録画できない。 ・録画したものを観れるのは平日の夕飯の時の30分、休日はそれに加えてお昼の90分。 大体想像つくかもしれませんが、平日のゴールデンの番組はほぼ1時間です。当然のことながら録画したものは溜まっていきました。年末の番組を3月になってみたこともありました。皆の話についていけないのも当然でした。そして、小学校から引き続きわたしは漫画を読むことも禁止させれていました。禁止というより、相変わらず 「あんなもの読むと馬鹿になる。」 や 「あんなもの読みたくないでしょ。」 と言われ続けていました。全く漫画家に失礼ですね。学校では友達の話についていけずに辛かったのを覚えています。今でも友達とどんな話をして毎日過ごしていたのか思い出せません。友達がドラマや漫画で盛り上がっているのをずっと聴いていただけない気がします。 それにこんなこともありましたね。冬になるとわたしの通学路は部活を終えて帰る頃には真っ暗になります。同じ部活には仲の良い子がいて、いつも2.3人で一緒に帰っていました。一緒に帰る相手がいるのだからいいじゃないですか?でも、あなたはそれでも迎えに来たがりました。友達と楽しく話しながら帰っていると帰り道の半ばくらいで母親が歩いてくるのが見えるのです。すごく嫌でした。友達と話しにくくなるじゃないですか?あなたは「わたしは後ろ歩くから気にせず話して。」とか言っていましたが普通に気になります。きっと友達も気になっていたと思います。それに言葉遣いや話の内容について気に入らないことがあると家に着くなり説教が始まりました。友達の言動が気に入らなかった時もそうです。 「あの子のあれが気に入らないから今度そう言うことがあったらあんたからちゃんと注意しなさい!」 そうやっていつも怒ってきました。わたしが戸惑っていると、 「注意できないならもう一緒に帰っちゃダメだから!一緒に帰るのやめなさい!」 と怒られました。わたしが嫌だと感じているなら分かりますがわたしが何も思っていないのになぜわたしが注意しなければならなかったのでしょう?幸い同じ言動が繰り返されることはなかったのかわたしが友達に注意することはありませんでしたが、一緒に帰っている間中気が気ではありませんでした。それまでに比べたら一緒に帰るのを楽しめていなかったと思います。もう友達にはわたしのそばにいてくれただけでも感謝です。感謝しても仕切れません。  少しでも自由になりたくて、家にいる時間を減らしたくて、土曜日も午前に授業があり、家から自転車で通える高校を選んで受験し合格しました。自転車で通える学校なら電車やバスと違って乗った時間を教えろと言われることがないと思ったからです。  でも、あなたはわたしが自転車で通うことが気に入らなかったみたいですね。バスの本数が多くて家から30分ほどで通える高校に志望校を変えるよう圧力をかけてきました。 「ねぇ、高校変えな?自転車で通うなんて危なすぎるわ。バスの方が楽じゃない!」 あなたの言うことが絶対だと思っていたわたしの心は揺らぎました。でも、この時くらいでしょうか?わたしはしっかり自分の意思を通して自転車で通える高校を受験しました。結果的にその高校はすごくいいところであなたも気に入ったようでした。 「いいところ行ったわねぇ。」 と圧力をかけてきたことなどなかったかのように頻繁に話してくるのだから大したものです。
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