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そうして育ったわたしは完全に社会不適合者となった。かろうじて大学進学と同時に家を出て一人暮らしを始めたものの親からの呪縛を解くことは出来ず、親の監視下にいないにもかかわらず、夜遅くまで出歩いたら親に怒られるかなとかいろいろ考えてしまうようになっていた。それに今まで友達と深く関わってこなかったせいで友達との距離感がわからず、せっかく親元を離れたのに遊びに行く友達がほとんどできなかった。依然として遊びに行くことはほとんどない生活が続いた。何故か一人家で過ごす日々。友達からの連絡もほとんどなかった。毎日が孤独だった。でも、完全に友達がいなかったわけではない。ちゃんと大学では一緒に過ごす友達がいた。でも、それだけだった。  そんなわたしにも20歳の頃彼氏ができた。同じクラブの同級生。ほぼ毎日彼と大学で顔を合わせ、休日も必ず会う。会っていない時もLINEで連絡を取り合う。幸せな日々だった。初めて孤独を感じなくなった。しかし、そんな日々も長くは続かなかった。3ヶ月ほど経った頃から彼が素っ気なくなり始めた。そして、それから1週間ほどしてフラれたのだ。理由はこうだった。 「渚沙ちゃんにはもっと俺の気持ちを考えて欲しかった。」 ショックだった。でも、振り返ってみるとたしかにそうだった。わたしはわがままだった。母親がわたしのことを都合よく動く駒としてしか扱っていなかったようにわたしも周りの人が自分の都合よく動くと思ってしまっていた。振り返れば振り返るほどいかに自分がわがままだったかが思い出される。消えてしまいたくなるほどに…。
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