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⑦
幼少期
正直この時期のあなた方に対する記憶はあまりありませんがわたしの中でトラウマとして残っている記憶がこれです。
「わたしの歌を否定した。」
これだけ聴くと「はぁ?その程度?」って思うかもしれません。しかし、トラウマとして心に残るほどの出来事だったのです。
小さい頃のわたしは歌を歌うのが大好きでした。アニメのオープニング、幼児番組、CMなどで流れる曲をたくさん口ずさんでました。でも、あなたは必ず言いましたね。
「下手!ちゃんと歌いなさい!」
って。それでもわたしが歌っていると
「そこ!音程めちゃくちゃ!」
とか
「ほら今音程外れた!」
とか言い出し、
「こうやって歌うのよ。」と聞いてもいないのに勝手に歌い出しましたね。どうせ自分が歌いたかっただけでしょう。そしてわたしがつまらなそうにしていると
「ほら、ちゃんと聞いてないからちゃんと歌えるようになれないのよ。」
と言ってきましたね。
それでも負けじと歌っていると挙げ句の果てには
「ちゃんと歌えないなら歌うのやめなさい!」
って怒りましたね。自分の子どもが下手ながらに歌を歌ってるのって可愛くないんですかね?幼稚園入るかそこらの子で音程完璧に歌える方がすごくないですか?そんなに耳障りでしょうか?父は歌が下手だそうなので遺伝でしょうね。父を責めてください。
話を戻します。そう怒られ続けたわたしは人前で歌が歌えなくなりました。でも、小学校である日歌のテストがありました。一人ずつ先生のピアノに合わせて歌うテスト。何人か「音程が…」と言われる中わたしは音程を注意されることなく終わりました。ちゃんと歌えた喜びで家に帰ってあなたに報告しましたね。
あなたはなんていったか覚えてます?
「たまたまよ、だってあんた歌下手だもん。」
です。これがきっかけで完全に歌が歌えなくなりました。人に聞かれると思うと怖くて声が出なくなるようになりました。高校に入り、みんながカラオケに行って楽しむのにわたしは怖くていけませんでした。
当時の基本的な生活は人並みだったのではないでしょうか?幼稚園の頃は幼稚園が終われば交代で家の近い子の家で毎日遊んでいました。休日に遊んだ記憶は特にありませんでしたが、幼稚園の頃は楽しかったのを覚えています。たしか、この頃からでしょうか通信教育を始めたので休日はそれをやって過ごしていた気がします。
幼稚園の頃からでしょうか?お母さん、あなたは父方の祖父母の悪口をわたしによく言ってくるようになりましたね。祖父母、特に祖母の方もわたしにお母さん、あなたの悪口を言ってきていたのでわたしはいわば板挟み状態でした。その当時のわたしはあなたの味方でしたので、祖母が悪口を言っていたことをあなたに伝えてもあなたの言っていた悪口を祖母に伝えることはありませんでした。あなたは事あるごとに
「あの人たち(祖父母)は本当に嫌な人たちよね。わたしは昔こんなこと言われたのよ。」などと結婚当初言われた嫌だったことや、近所での評判が悪いことなど話してきたことを覚えています。それが幼いながらに「祖父母=悪い人」のイメージになってしまっていたのだと思います。わたしは祖父母を嫌っていました。でも、それも最近振り返ってみれば本心でなかったのかもしれないと思うようになりました。わたしたちは2世帯住宅に住んでおり、完全に生活リズムは違いました。でも、二人が亡くなった今、本当にあの二人は悪い人だったのか?と思うようになりました。同じ家に住んでいたのだからもっともっとお話しがしたかった。一緒にお出かけしたかった。あなたの悪口を言っていたのだってあなたがわたしを叱る声が相当響いていたからなのだと思います。もしかしたら理不尽に叱っていたことにも気がついていたのかもしれません。しかし、あなたはわたしが祖父母のところに長くいることを望みませんでした。幼稚園や友達の家から帰って「ただいま」って挨拶しに行ってもすぐにあなたのもとに行かないと
「また、お母さんの悪口を言っていたの!?」
と聞いてきましたよね。それが嫌で、そしていつまでも二人のもとにいるなと言われるのが嫌で二人とは本当にあまり話ができていなかった。一緒に出掛けたこともほとんどありませんでした。そして、お母さんあなたはわたしを叱る時頻繁に
「あんたのそういうところがおばあちゃんそっくり!」
と叱ってきましたね。そっくりとはもちろん悪い意味です。性格悪いところとか、意地汚いところとか色々言われました。「嫌われている、評判の悪い」と聞かされている祖父母と性格がそっくりと言われるのがわたしにとってなによりも辛い叱られ方でした。わたしも嫌な人なんだ。将来近所で評判が悪いと言われるような人なんだと思い、落ち込んだことを覚えています。この叱り方や祖父母の悪口はわたしが家を出ても続きましたね。家を出ても会うたびに話してきて嫌な思いをしたことを覚えています。お母さん、たしかにあなたにとっては血の繋がらない人達、戸籍でのつながりしかないいわば他人かもしれません。でも、わたしにとっては血の繋がった祖父母なんです。大人になるにつれて祖父母の悪口はわたし自身が否定されるような気がしてだんだん辛くなっていきました。
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