6 鼓動

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6 鼓動

「……あ……!?」  フルーラはハッとしたようにリシャードを見る。 「僕に花は出せないけど、これで判るだろ?」  手のひらから感じるリシャードの鼓動は、有事のときに()かれる早鐘のように激しいものだった。 「一方的なんかじゃない……。ルラ、僕も君のことが好きなんだ」  口を半開きにして固まったままのフルーラに、リシャードはもう一度はっきりとした口調で告げる。 「僕の方がきっと、君よりもずっと前から好きだった」  ぶわっと派手に現れた新しい花たちがくるくると舞い始めると、突然リシャードは長椅子からフルーラを抱き上げた。 「きゃっ、リ、リシャード……!?」  いたずらっぽい眼差しでリシャードはフルーラの顔を覗き込む。 「……『さすがに、この応接間じゃ』」  これからどこに向かおうとしているのかをフルーラが理解すると、顔の色にそっくりな赤い小花がどっと降ってきた。
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