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「んぅ……」
覚悟はしていたが、大きな圧迫感にフルーラは少し怖気づき、リシャードの腕にしがみついた。
「ゆっ、くりするから……」
ごく浅いところを行きつ戻りつするリシャードの切なそうな息づかいに気がついたフルーラは、心を決めたように希った。
「……リシャード、ひとおもいに……来て」
「ルラ……?」
「そうして欲しいの」
透き通るような碧色の瞳で、フルーラは愛する人を見つめた。刻み込んで欲しい。何もかも一生忘れないように。
「いいのか……?」
フルーラは頷いて微笑む。
「リシャード、好き。今夜だけじゃ言い足りないくらい、大好き……」
リシャードはフルーラの蜜にまみれた小さな芽に指を伸ばし、可憐な花をいくつか舞わせる。
「あッ……」
「フルーラ、大好きだ」
そう囁くと、リシャードは細腰をしっかりと掴み、愛する人の望みどおり一気に貫いた。
「っ…………!」
悲鳴も上げられないほどの衝撃に、フルーラは目をぎゅっと閉じて細い首をのけぞらせる。
紅い大輪の花がゆっくりと宙を漂い、ぽとりと寝台の上に落ちた。まるで破瓜の証のように。
「……ルラ……」
リシャードが心配そうにフルーラの髪を撫でるとまぶたが開き、涙をためた碧い瞳が現れた。
「やっぱり辛そうだ」
「……でも、すごく幸せ……」
リシャードがフルーラを抱きしめると、フルーラも汗ばんだ背中に腕を回した。滑らかな素肌の触れ合いが、少しずつ痛みを和らげていく。
ずいぶんと待った後、ようやくリシャードはフルーラを揺らし始めた。
「あっ、あ、リシャード……」
新しい花はもう現れなかったが、二人はお互いの手をしっかりと握り合い、花々の香りに包まれながら一緒に高みへと昇っていった。
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