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リシャードはなだめるように抱きしめると、フルーラの裸の腰を撫でた。
「かわいいなあ。僕のことが好きすぎて泣いちゃうなんて」
「リシャード! 私は本気で……っん」
フルーラの抗議を、リシャードはくちづけで止める。
「……ずるい」
唇を離してフルーラの染まった頬を指で撫でながら、リシャードは微笑んだ。
「花が出なくなったから、本気で怒ってるのか、実は喜んでるのか、判りづらいな」
「も、もうっ……」
「君のどこをどう触れたらいいのかも、花が教えてくれたけど……」
リシャードはフルーラの耳許で囁いた。
「忘れないうちに、おさらいをしておこうか?」
「ちょっと……」
フルーラは抗議するように口を尖らせたが、もし今もまだ花が出せるのなら次々に降ってきてしまっているだろうと思いながら、再び唇を寄せてきたリシャードの背中にそっと腕を回した。
寝台に積もった色とりどりの花々は、結ばれたばかりの恋人たちを祝福するかのように、二人の周りを弾んでいた。
<おしまい>
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