4 近寄れなかった理由

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4 近寄れなかった理由

 うつむいたままのフルーラの耳が赤く染まる。 「だ、だから、結婚して子宝にまで恵まれたお姉さまがたは、もう体質を悪用される心配はないのよ」  手のひらの上の薄紅色の花を眺めながら、しばらく考え込むような顔をしていたリシャードは、ふっと口許に皮肉な笑みを浮かべた。 「ああ、それで君は……」  驚くほどひんやりとした声だった。 「その特異体質を終わらせるために、幼なじみの僕を使おうと考えたわけか」 「えっ……?」  訝しげにフルーラが顔を上げると、リシャードの冷たい横顔が目に映った。 「陛下に忠誠を尽くしている公爵家の息子なら、国益にならないようなことは決して口外したりしないしな」 「な、何を言いたいのか解らないんだけど」 「君は自分の体質のことを『気持ち悪い』なんて言ってたし、姉上たちのように大変な思いをしないためにも、ごく普通の身体になっておいてから、人生を共にする男のもとに嫁ぐつもりなんだろう?」 「は……?」
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