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だが、件の札の記番号は、印刷されていない番号だった。
紙幣の記番号は、アルファベットが頭に1文字或いは2文字、末尾に1文字あり、
アルファベットの間に6桁のアラビア数字が挟まれている。
26文字あるアルファベットのうち『I』と『O』は、数字の『1』と『0』と間違いやすいため、除外されている。
数字は『000001』から『900000』までの90万通りが使われる。
つまり、組み合わせると129億6千万枚で記番号は一巡する。
組み合わせを全て使い切ると、記番号の色を変えることになる。
だから、同じ記番号が存在することはあり得る。
だが、今回は未だ印刷されていない紙幣の記番号だったため、印刷局流出説の目はなくなった。
存在しないはずなのに、存在する紙幣。
見えないのに存在する月がストーカーのように俺をつけ狙う。
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