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私は彼の態度に呆然としつつも、高級ケーキの箱を一旦テーブルに置いて、いつものベッド上の定位置に膝を抱えて座り込む。
とりあえず、珈琲を飲んで…美味しいケーキを食べて落ち着こう…。
私は気を取り直して、珈琲を抽出し、ケーキとともにお盆に載せ再び定位置へ座る。おっと…つい今までの習慣でベッドの上へあがってしまった私…
直ぐにお盆を持ってミニテーブルの前に移動し、はたと気付く。
私…動揺からか、さっきから何、やってんだろう…。
スプーンとフォーク… 出さなきゃ…
立ち上がって引きだしからそれらを取り出し、再び座る。
はあ… なんだかもう…
珈琲にミルクを入れ、かき混ぜようとしたその時、
銀のスプーンに映り込んだ…
あ… …
私の顔…
眉毛はほとんどなくて、眼は腫れぼったい一重。
眼は驚くほどに小さい。
あまり形の良くない鼻。
最近、少し数が増え、しかも濃くなり始めてきたシミソバカス…
薄すぎる唇。
落武者のように、乱れた髪…
これら…コンプレックスのすべてを私は毎日1時間以上かけて上手に隠し、生かせる部分は生かし…誰が見ても完璧な美人に仕立て上げているのだけど…
しまった …
部屋をどうにかして綺麗にすることに全部の神経を集中するあまり…
自分の顔を綺麗にするのを、完全に忘れていた・・・
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