81人が本棚に入れています
本棚に追加
「応援の部、優勝は……」
期待を煽るかのように、ドラムロールが流れる。
「……赤団!」
閉会式でそう発表された瞬間、私は全身の力が抜けた。
負けた……
あんなに、頑張ったのに……
今日は学校祭1日目の体育祭。
私は応援団として、夏休みの間も練習を頑張ってきた。
今日も、全力を出し尽くして頑張ったけれど、優勝には届かなかった。
そんな私の横で、まっすぐ顔を上げたまま、悔しそうに唇を噛む本宮くんの姿が目に入った。
応援団長の彼は、きっと私なんかよりもっと悔しい思いをしてるんだろう。
入学してから1年間は、全く接点のなかった彼。
体育祭に向けてのこの2ヶ月、一緒に頑張るうちに、とても仲良くなった仲間だ。
中学は違うけど、たまたま通学で使う路線が同じだったから、応援練習の後は、毎日、一緒に帰ってた。
みんなといる時は、いつも明るくてお調子者のムードメーカーだけど、2人でいる時は、意外と無口だったりもする。
どっちが本当の彼なんだろう?
仲良くなったばかりということもあり、時折り彼の見せる新しい一面が、新鮮で興味深い。
最初のコメントを投稿しよう!