『分岐点』

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『分岐点』

 ──俺、ホントはお前のことが……。  そこであたしは不意に目覚めた。  夜八時。半端な時間にベッドでうとうとしてたとこを、スマホの着信音に起こされたみたい。  夢の中でくらい、望みが叶ってもいいんじゃないの? なんで途中なんだよ。いや、現実との差で虚しいだけかもしれないけどさぁ、でも。 《なぁ、これからそっちの家行っていい? ちょっと話あるんだけど。》  確かめたスマホには、幼馴染みの祥平(しょうへい)が寄越したメッセージ。……ほんの一瞬、夢との境目が曖昧になった気がする。  通り隔てて隣のマンションに住んでる彼。幼稚園から高校の今までずっと一緒で、異性とか関係なくよく遊んだなぁ。  中学生になっても高校生になっても、変わらず友達。すごく仲の良い、友達。  今日はパパはまだ仕事、ママはもう夕食の片付けも終わってリビングでテレビ観てる。  あたしは三人兄妹の二番目なんだけど、お兄ちゃんはなんか飲み会で遅くなるらしくて、妹は塾で帰りは十時過ぎ。あたしとは曜日が違うんだ。  だから今、この家に居るのは二人だけ。  一応ママに許可取ってから、あたしは彼にOKの返信する。
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