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それからしばらくして、祥平がやって来た。
「お邪魔します。こんな時間にすみません」
他人行儀に、って『他人』なんだけど、ママにきちんと頭下げて挨拶なんかして。
高校生になってからは、家行き来することはほとんどなくなってたから久し振りだもんなぁ。
彼はなぜかキウイフルーツたくさん持って来てたんだ。
「ウチの親が職場でもらって来たんです。こんなに食べきれないからよかったら」
なんて、ママに渡してたよ。
高校生になってからは、家行き来することはほとんどなくなってたからなぁ。
祥平、今まで手土産なんて持って来たことないのに。いや、これは手土産ってか お裾分け、の意味が大きいのはわかってるよ。
どうでもいいけど、明日のお弁当はキウイ入りだな。家族みんなキウイ好きだからいいんだけどさ。
「……俺さぁ、思い切って麻帆に告ろうかなって」
自分の部屋に通して、いつも友達が来た時と同じようにベッドにもたれて床に並んで座った。腰下ろしてすぐの祥平の言葉に、あたしは一瞬返事に詰まってしまう。
──ついに来たか、ってね。
彼の好きな子を知っちゃった時から、いつかはこういう日が来るって覚悟してた。
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