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まあね、祥平の言う通り麻帆は可愛いよ。
顔も仕草も表情も話し方も、もう全部が『可愛い女の子』ってカンジ。
何よりも、そういうのがわざとらしくないとこが一番スゴイんだ。自然体で、そこにいるだけで可愛い。
なんなの、いったい。
だから女の子にも嫌われたりしないんだよね。いつでも友達に囲まれてる。
「断られてもいいから、せめて俺の気持ちだけでも知っててもらいたいんだよ」
それでも祥平は、キッと前を見て覚悟決めたみたいに口開いた。
「だから明日! 俺、麻帆に告白する! 決めたんだ」
あたしがずっと密かに恋してた幼馴染みは、あたしの前できっぱり決意表明する。
他の、あたしじゃない女の子に告白することを。
──明日。明日、かぁ。
「なぁ、『好きだ。俺と付き合ってくれ!』じゃあんまり芸なさ過ぎか? でも小っちゃい頃から知ってんのに、今更カッコつけんのもどうかなって。……お前はどう思う?」
耳ペタンと寝かせて尻尾垂らした犬みたいに、見上げるほどでっかい祥平が隣に座ったあたしの顔を覗き込んで来る。
ああ、そっか。これ訊くために、わざわざうちまで来たんだ。
「そーだね。ヘンに小細工するよりストレートな方がいいんじゃない? ただ……」
「何? 俺、ホントに全然わかんないから。遠慮なく何でも言ってくれ! 是非、女心をレクチャーしてくれ!」
真剣な顔で食い下がってくる祥平。
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