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大丈夫、麻帆はアンタのこと好きだよ。
子どもの頃からずっと。あたし、あの子のことはよくわかってるから。さすがになんでも、とまでは行かないけど、きっと他の誰よりも詳しいよ。
「告白すんのはまあいいんじゃないの。思い切ってぶつかって、玉砕すんのも青春じゃん?」
「お前、さり気にヒドいこと言うなぁ。振られんの前提かよ」
敢えて軽く口にしたあたしに、祥平はちょっと拗ねたような表情になった。この程度の意地悪言うくらい許されるでしょ? 何も知らない鈍いアンタにはさ。
「いや、こういう場合最悪の事態を想定して動くべきじゃない? 自信満々で崖の上から突き落とされるより、『どーせダメ元』からの逆転ハッピーのが絶対いいじゃん。気分的に」
「……まあ、な」
ちょっと真面目な口調になったあたしに、祥平は不承不承って感じで頷いてる。
「けどさ、明日ってのはどうかなぁ。木曜日でしょ? 次の日も学校あるんだよ? 休みの日か、……せめてその前の日にした方がいいって!」
「うん、お前の言うこともわかる。断られたときとか、ちょっと時間おける方がいいんだろうし。それでも、やっぱ明日がいいんだ」
無駄に力入ってるのは自覚してるあたしの説得に、それでも祥平の決意は揺らがないらしい。どうしても、明日でないとダメなの……?
「明日は麻帆の誕生日だからさ」
もちろん知ってるよ。当たり前じゃん。だから言ってるんだよ。
だって麻帆の誕生日は──。
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