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「紗帆、今までいろいろ話聞いてくれてありがとな」
祥平の優しい声、笑顔。あたしが本当に望んでたものとは、たぶん全然違うけど。
「こんな話、男友達とじゃ役に立ちそうにないしさぁ。お前もガサツとはいえ一応女だからなー、助かったよ。俺ホント、いい友達持ってよかった」
あたしの想い人の祥平と、あたしの双子の妹の麻帆と。
双子なのにあんまり似てない、あたしなんかとは比べ物にならないくらい女の子っぽくて可愛い、妹。
生まれた時から、──生まれる前から一緒で大好きな。だけどあたしが一番欲しかったものを攫って行く、大嫌いな、妹。
よかったね、祥平。明日には無事、麻帆とカップルになれるよ。あたしが保証する。
恋が実るってどういう気分なんだろ。世界がピンクに染まるって、あれマジなのかな。
同時に明日はあたしの失恋記念日になる。明日からは、あたしは片想いも許されなくなるんだ。ただの横恋慕になっちゃうから。
──あたしにとっても、十七歳の誕生日なのにね。
~END~
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