『分岐点』

6/6
前へ
/9ページ
次へ
紗帆(さほ)、今までいろいろ話聞いてくれてありがとな」  祥平の優しい声、笑顔。あたしが本当に望んでたものとは、たぶん全然違うけど。 「こんな話、男友達とじゃ役に立ちそうにないしさぁ。お前もガサツとはいえ一応女だからなー、助かったよ。俺ホント、いい友達持ってよかった」  あたしの想い人の祥平と、あたしの双子の妹の麻帆と。  双子なのにあんまり似てない、あたしなんかとは比べ物にならないくらい女の子っぽくて可愛い、妹。  生まれた時から、──生まれる前から一緒で大好きな。だけどあたしが一番欲しかったものを攫って行く、大嫌いな、妹。  よかったね、祥平。明日には無事、麻帆とカップルになれるよ。あたしが保証する。  恋が実るってどういう気分なんだろ。世界がピンクに染まるって、あれマジなのかな。  同時に明日はあたしの失恋記念日になる。明日からは、あたしは片想いも許されなくなるんだ。ただの横恋慕になっちゃうから。  ──あたしにとっても、十七歳の誕生日なのにね。                               ~END~
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加