恋の味

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そー言えば、このチョコ作るのに時間かかって味見もしてなかったのよね。 私は残ったチョコを口に入れた。 ーーーーーー 「うっ•••しょっぱぁーい!!」 なにこれ?砂糖と塩まちがえてる!? とてもじゃないけど、食べれない!! 嗚咽しながら、悶えていると横から声がする。 「お帰りなさいませ。」 そう言ってハンカチを差し出してきたのは店のおじいさんだった。 気づけば元の場所に戻っていた。 「あ!ちょっとおじいさん!?なにこれ!すっごい不味かったんだけど!!」 「ええ。どうでしたか?しょっぱくても、優しさを知れた味でしょう。」 え?•••あ!和樹!あんなに急いで食べたのは、私に気を遣って? それで慌てて走って行ったの? この時、私は初めて彼の不器用な優しさに気づいた。今日のお弁当の事だって、理由があったのかも知れない。 それなのに私は勝手に決めつけて•••彼に会いたい! 「おじいさん!ありがとう!!」 そう言い残した私は、彼の元へと駆け足で戻った。 家に着くと、さすがに彼は寝てしまっていた。 だけど、キッチンには空になったお弁当箱が置いてある。 一緒に置いてあったメモ書きには、”いつもありがとう”と書いてあった。 私は頬を伝った涙を拭い、お弁当を作る準備を始める。彼の為に。 今回は冷凍食品ではなく、全て手作りで•••。
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