借金男

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友の言葉に昔は耳も傾けなかった。けれど今は違う。 借金が膨らんでからは本当に皆が避けるようにいなくなって•••豪の言葉が胸に響く。 「ああ。そーする。誓うよ!だから俺とまだ友達でいてくれ!豪!!」 豪は泣き崩れ座り込んでいる俺に目線を合わすよう座り、俺の目の前に札束を差し出した。 「十万ある。これは貸すんじゃない。お前を信頼してその心を買ってやる。失望させるなよ。」 そう言って手に札束を握らせた豪は、俺の肩をニ度程叩いて歩き出した。 俺はその後ろ姿に、額を地面に擦り付けるよう頭を下げて見えなくなるまで何度も礼を言った。 口の中に残った血の味を涙と一緒に噛み締めた。 ーーーーーー 顔を上げると元いた店に戻っていた。 さっきまで持っていた筈の札束は手の中にはない。 「あれ!?じいさん!俺の十万は!?」 「残念ながら、過去から今に何かを持ってくる事は出来ません。」 「でも!ほら!俺はあの時、本当は豪から金なんて貰ってないんだぜ?過去が変わったなら未来も変わったんじゃ•••。」 「過去はそう簡単には変わりません。ここにそのお金がないと言う事は、結局、貴方自身が変わらなかったのでしょう。」 そんな•••じゃあ豪とも絶交したままって事かよ。
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